B-32:外注先のIT会社、どう選べばいいか? —25年現場で見た「良い業者・危ない業者」の見分け方

IT会社選びで失敗しないために

IT会社選びで後悔しないために。25年の現場で見てきた「良い業者・危ない業者」の見分け方を正直にお伝えします。

知り合いの紹介、ホームページの上位表示、営業の熱心さ。そういった理由だけで選ぶと、後から「こんなはずじゃなかった」となりがちです。選ぶ基準を持っているかどうかで、その後のIT環境が大きく変わります。だからこそ、見分け方を正直にお伝えします。

目次

IT会社選びで後悔する会社に、共通していること

「前に頼んでいたIT会社、言われるままに高いサーバーを買わされて…」
「担当者がころころ変わって、毎回一から説明しないといけなくて」
「何かあって連絡しても、返事が来るのに何日もかかって」

IT会社選びで後悔した社長の話を、25年の現場でたくさん聞いてきました。

後悔する会社に共通しているのは、「選ぶ基準を持っていなかった」ことです。知り合いに紹介してもらった、ホームページで上位に出てきた、営業が熱心だった。そういった理由で選んで、後から「こんなはずじゃなかった」となるケースがほとんどです。

IT会社は、選び方次第で会社のIT環境が大きく変わります。この記事では、25年の現場で見てきた「良い業者」と「危ない業者」の見分け方をお伝えします。

「良い業者」を見分ける3つの確認ポイント

① 提案の前に「現場を見に来る」 →オンライン完結の業者に注意

最初の打ち合わせで、いきなり提案書を持ってくる業者には注意が必要です。御社の現場を見ていないのに、どうして最適な提案ができるのでしょうか。

IT経営の相談は、話が複雑になることが少なくありません。業務の流れ、社員の使い方、机の配置、機器の設置場所。画面越しではわからないことが、現場に来ると見えてきます。「オンラインで全部対応します」という業者より、「まず現場を見せてください」と言える業者のほうが、中小企業には頼りになります。

確認ポイント

「最初に現場を見に来てもらえますか?」と聞いてみてください。快く来てくれる業者は、それだけで信頼できる可能性が高いです。「リモートで対応できます」と返ってきたら、もう少し慎重に見てください。

② 専門領域と「横断力」を確認する

IT会社には、「ネットワーク専門」「セキュリティ専門」「クラウド専門」といった、特定の領域に特化した業者が多くあります。専門性が高いことは強みですが、中小企業のIT経営は一つの領域だけで完結することがほとんどありません。

PC・ネットワーク・セキュリティ・クラウド・バックアップ・ホームページ。これらが複雑に絡み合った相談に、縦割りの専門業者では対応しきれないことがあります。「うちの専門外なので…」と言われた経験のある社長も多いのではないでしょうか。

良い業者は、あらゆる分野を横断して相談に乗ります。そして自社だけで対応できない専門領域が出てきたときは、外部の適切な専門家を連れてくる。「何でも自分たちでやります」ではなく、「必要な人を連れてきます」と言える業者は、御社のIT全体を見渡せる存在です。

📌 確認ポイント
「御社の専門領域はどこですか?」と聞いてみてください。一つの領域しか答えが返ってこない場合は、横断的な相談には向かないかもしれません。「幅広く対応します」と言う業者には、具体的にどこまで対応できるかを確認してください。

③ 実績を正直に見せてくれるか

多くのIT会社は「導入実績○○社」「成功事例」しか見せません。うまくいったケースだけを並べて、失敗や不確実性には触れない。それが業界の慣習になっています。

しかし社長にとって必要なのは、正しい判断をするための材料です。「これは弊社にとって初めての挑戦になります」「普段の弊社の案件から少しズレています」「成功確率はこのくらいだと思います」。こういったことを守秘義務の範囲で正直に話してくれる業者は、御社の利益を優先しています。

都合の良い情報だけを見せる業者より、都合の悪い情報も含めて伝えてくれる業者のほうが、長い付き合いができます。「この案件、正直に言うとリスクがあります」と言える業者を選んでください。

📌 確認ポイント
「似たような規模・業種での実績を教えてください」「差し支えなければ失敗事例も」と聞いてみてください。成功事例だけでなく、苦労した点や想定外だったことも話してくれる業者は信頼できます。

「危ない業者」のサインを見分ける

最初から高額パッケージを勧める

「セキュリティが心配なら、このパッケージが一番です」
「全部まとめてこのプランにすれば安心です」
現場も見ずに最初からパッケージを勧める業者には注意が必要です。

御社の規模・業務・予算に関係なく、決まった商品を売ろうとしている可能性があります。提案の中身より先に「金額」と「契約」の話になる業者は、特に慎重に見てください。

専門用語を多用して説明しない

「UTMを入れてゼロトラスト環境を構築して、エンドポイントのEDRも対応します」。こういった説明をされて、わからないまま「そうですか」と頷いてしまった経験はありませんか。

良い業者は、社長がわかる言葉で説明します。専門用語を使わなければ説明できないのではなく、あえて使わずに伝える努力をしているかどうか。それが、御社に寄り添う姿勢かどうかの判断基準になります。

担当者がすぐ変わる

「また担当が変わりました」が繰り返される業者とは、長い付き合いが難しくなります。御社の状況を一から説明し直すたびに、時間も手間もかかります。

担当者が変わること自体は仕方ない面もありますが、「変わるたびに御社の情報が引き継がれているか」は確認できます。前の担当者が把握していた内容を、新しい担当者がどれだけ知っているか。最初の会話でわかります。

迷ったときの判断基準 →「一緒に悩んでくれるか」

良い業者・危ない業者の特徴をお伝えしましたが、最終的に迷ったときの判断基準は一つです。

「この人は、一緒に悩んでくれるか」

答えをすぐに出そうとする業者より、「御社の場合はこういう事情がありますよね、だとするとこっちのほうがいいかもしれません」と一緒に考えてくれる業者のほうが、長い付き合いができます。

ITの世界は変化が速く、今の正解が3年後の正解とは限りません。「この人となら、変化に一緒に対応できる」と思えるかどうか。最終的にはそこが、業者選びの本質だと思います。

🖊 筆者の余談:他社の見積もりを10枚持ってきた社長

他社の見積もりを10枚持って来られた社長がいます。全部見せてもらいました。「どれがいいと思いますか?」と聞かれたので、正直に答えました。「これは御社には過剰です」「これは安いけど、この部分が抜けています」一枚一枚、理由を言いながら。

結果として、当社への発注にはなりませんでした。でも、それでいいと思っています。御社にとって一番良い選択をしてもらうことが、私の仕事だと思っているからです。

その社長とは、その後も長いお付き合いが続いています。「あのとき正直に言ってくれたから信頼できる」と言ってもらえました。いっとき損をしても、正直でいることが、結局一番の近道だと25年間で学びました。

比較してもらって構いません。他社と見比べた上で、それでも「ここに頼みたい」と思ってもらえる関係を、当社は目指しています。

IT会社の実態は、付き合い始めてからわかることが多いです。だからこそ、最初の数か月をお試し期間として使うことをお勧めします。「合わない」と感じたら早めに見直す。長く縛られる必要はありません。良い付き合いは、お互いが納得した上で続くものです。

この記事のまとめ

コレだけ!1分で復習
  • IT会社選びで後悔する原因は「選ぶ基準を持っていなかった」こと
  • 良い業者は「現場を見に来る」「横断的に相談に乗れる」「実績を正直に見せる」
  • 危ない業者のサインは「高額パッケージ」「専門用語多用」「担当者がすぐ変わる」
  • 迷ったときの判断基準は「一緒に悩んでくれるか」
  • 良い業者は、御社の「外部IT部門」になれる存在です
小田朋和
(有)イオアート 代表取締役・IT経営コンサルタント
人情の街として知られる東京都葛飾区を拠点に創業25年以上。中小企業経営者のIT経営をサポート。「売り込まない・中立・わかりやすく」をモットーに、経営者の隣でITを経営の力に変えるお手伝いをしています。行政機関・経営者団体・大学・高校からの講師依頼も多く、「難しいと思っていたITが、楽しく理解できた」という声をいただいています。「社長」よりも、「先生」と呼ばれることの多い25年でした。
まず現状を聞かせてください

「うちはどこから手をつければいい?」
それを一緒に整理するところから始めます

ツールを売り込んだり、いきなり大きな提案をしたりはしません。まず御社の今の状況をうかがって、何が問題で、何から始めるべきかを一緒に考えます。葛飾区で25年以上、経営者の隣でITを見てきたからこそできる、現場に寄り添った相談です。

※葛飾区周辺(足立区・江戸川区・三郷市・八潮市・松戸市など)へは、初回訪問時の出張料も無料(それ以外の地域も対応しています。その場合は、交通費の実費だけご負担ください。)

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