B-08:Microsoft Officeは本当に必要? —「買い切り・月額・無料」会社の規模別で正直に比較する
Microsoft Officeは本当に必要?
「買い切り・月額・無料」。会社の規模と使い方に合わせて、正直に比較します。「とりあえず全員分」をやめるだけで、年間数万円変わることもあります。
「パソコンを買ったら、Officeも一緒に」。そう思い込んでいる経営者の方は、まだ多くいらっしゃいます。
でも少し立ち止まって考えてみてください。社員5人の会社で、全員分のMicrosoft 365を契約していませんか? パワーポイントを実際に使っているのは、営業担当の1〜2人だけではありませんか? Excelは使っているけれど、マクロや高度な関数は誰も触っていない、ということはありませんか?
Officeソフトは「とりあえず全員分」が当たり前になりやすいソフトです。でも実態を確認すると、必要なライセンス数や種類が変わってくることがほとんどです。この記事では、Microsoft Officeの選択肢を整理しながら、会社の規模と使い方に合った「ちょうどいい選び方」を正直にお伝えします。
Microsoft Officeを「全員分」買っている会社、多すぎます
支援先の中小企業を訪問すると、よくこんな場面に出くわします。社員8名の会社で、全員のパソコンにMicrosoft 365がインストールされている。月額料金は1人あたり750円〜1,560円。年間にすると、8人分で7万〜15万円ほどになります。
ところが実態を聞いてみると。
- Excelを日常的に使っているのは経理と営業の3人
- Wordはほぼ使っておらず、メールと社内チャットで事足りている
- パワーポイントを使うのは社長と営業部長だけ
- 残りの5人は、ほぼブラウザとメールしか使っていない
これはよくある話です。「全員に同じ環境を」という気持ちはわかりますが、使っていないソフトにお金を払い続けているのはもったいない。まず「うちの会社、実際にどう使っているか」を確認するところから始めましょう。
まず確認。あなたの会社のOffice利用、実態はどうですか?
Officeをどう選ぶかを考える前に、3つの点を整理してみてください。
外部とのファイルやり取りはあるか
取引先や顧客から「Excelのフォーマットで送ってください」「Wordの契約書で」と指定されることはありますか? もしあるなら、互換性の問題が出にくいMicrosoft純正のOfficeが安心です。逆に、やり取りがPDFやメール中心であれば、無料・低コストの代替ソフトで十分対応できます。
マクロ・高度な関数は誰が使っているか
「ExcelでVBAマクロを組んでいる」「VLOOKUP以上の複雑な関数を日常的に使っている」という社員が何人いますか? こうした高度な使い方をしているのが特定の1〜2名だけなら、その人だけ上位プランにして、他の社員は安いプランや無料ソフトにするという選択肢もあります。
パワーポイントを本当に使っているのは何人か
プレゼン資料を自分で作る人は、思ったより少ないものです。社長や一部の営業担当だけが使っていて、他の社員はほぼ開かない。そういう会社では、全員分のパワーポイントライセンスは不要です。
- 取引先とExcel・Wordファイルをやりとりすることがよくある
- マクロや複雑な関数を使っている社員が複数いる
- パワーポイントで資料を作る社員が半数以上いる
- テレワークや複数拠点での利用がある
- 社内のコミュニケーションツールをTeamsに統一したい
チェックが多いほどMicrosoft 365(月額)が向いています。少ない場合は買い切りや無料ソフトも検討の価値があります。
3つの選択肢を正直に比較する
現在、Office系ソフトには大きく3つの選択肢があります。会社の実態に合わせて組み合わせることもできます。
Microsoft 365(月額・サブスク)
Microsoftが提供するクラウド型のサブスクリプションサービスです。常に最新バージョンが使え、OneDrive(クラウドストレージ)やTeams(チャット・会議)もセットで使えます。
複数拠点がある・テレワーク活用・Teamsで社内コミュニケーションをまとめたい・常に最新機能を使いたい会社
解約するとソフトが使えなくなります。払い続ける前提のコスト計算が必要です。
Business Basic:月額750円/人(Webアプリ版のみ・Teams付き)
Business Standard:月額1,560円/人(インストール版・全アプリ付き)
Office 2021/2024(買い切り)
一度購入すれば、ずっと使えるパッケージ版です。ただし、購入したバージョンのまま更新されず、将来的にサポート終了のタイミングが来ます(Office 2021のサポート終了は2026年10月予定)。
機能は今のもので十分・月額コストを抑えたい・インターネット環境が不安定な拠点がある会社
数年後に買い替えが必要になります。個人用と法人用(ボリュームライセンス)で価格や条件が異なります。
賢い買い方のコツ
パソコン購入時にOfficeをセットで購入すると、単体で買うより大幅に安くなるケースがあります。また、家電量販店やネットショップのキャンペーン時を狙って購入するのも有効な方法です。Microsoft 365はまとめ買いをすると利用期限がその分延びる仕組みのため、セール時にまとめて購入してコストを抑えているお客様もいらっしゃいます。
Google Workspace・無料ソフト(低コスト〜無料)
GoogleドキュメントやスプレッドシートはMicrosoft Officeとの互換性が高く、ブラウザだけで動作します。Google Workspaceの法人プランは1人あたり月額680円〜と、Microsoft 365より安価です。また、LibreOfficeは完全無料で使えるオープンソースソフトです。
外部とのOfficeファイルのやり取りが少ない・コストを最優先したい・すでにGmailやGoogleドライブを使っている会社
Microsoft Officeとのファイルやり取りでレイアウトが崩れることがあります。取引先が多い会社では事前確認が必要です。
現場で見てきた「Officeの見直しで月額コストが下がった」実例
ある製造業の会社(社員12名)を支援したときの話です。全員にMicrosoft 365 Business Standardを契約しており、月額は約19,000円。年間で約23万円かかっていました。実態を確認してみると。
- Word・Excelを日常的に使うのは事務スタッフと営業の計5名
- パワーポイントを使うのは社長と営業部長の2名だけ
- 残り5名は、社内連絡とブラウザ閲覧がほとんど
そこで以下のように見直しました。
Microsoft 365 Business Standard(月額1,560円)を継続。
Microsoft 365 Business Basic(月額750円)に変更。Webアプリ版のOfficeとTeamsは引き続き使えます。
月額約4,000円・年間約5万円のコスト削減。ソフトの使い勝手はほぼ変わらず、社員からの不満もありませんでした。
「全員同じプラン」をやめただけで、こうした結果が出ることは珍しくありません。
私が現場で感じるのは、「Officeを全員分買うのが当然」という空気が、まだ根強く残っているということです。
パソコンショップで相談すれば、ほぼ自動的にOfficeセットを勧められます。メーカー製パソコンには最初からOfficeがついていることも多い。そうした環境の中で、「本当に必要かどうか」を立ち止まって考える機会がなかっただけ、という会社がほとんどです。
私自身は、支援先でまずメモ帳を持って「誰が・何のために・どのくらい使っているか」を現場で書き出すようにしています。それだけで見直しのヒントが必ず出てきます。ソフトの話をする前に、まず使い方の実態を把握する。これが25年現場を続けてきた中で、変わらず大事にしていることです。
この記事のまとめ
- Microsoft Officeを「全員分・同じプラン」にしている会社は、見直しの余地がある
- 判断の軸は「外部とのファイルやり取り」「マクロの利用有無」「パワーポイントの利用者数」の3つ
- 月額・買い切り・無料を実態に合わせて組み合わせることができる
- キャンペーン時やPC購入時のセット購入を活用するとコストを抑えられる
- 全員同じプランをやめるだけで、年間数万円のコスト削減になったケースは多い