B-02:IT化の前に整理したいこと

IT化の順番を間違えていませんか?

IT化に失敗しないために「業務の見える化」が先に必要な理由と、現場観察からIT化する業務を選ぶ具体的な手順をお伝えします。

「そろそろうちもIT化しないといけないな」と思ったとき、最初に何をしますか?

クラウドサービスを調べる、知り合いの経営者に何を使っているか聞く、展示会に行ってみる。よくあるパターンですが、実はこの順番が「入れたけど使われないシステム」を生む原因になっていることがあります。

IT化で失敗しないために、最初にやるべきことは「業務の見える化」です。システムを選ぶのは、その後でいい。今回はその理由と、具体的な手順をお伝えします。

目次

IT化したはずなのに、仕事が増えた →なぜ起きるのか

「システムを入れたら、かえって手間が増えた」という話を、現場でよく聞きます。

よくあるのが、例外処理を基本システムに組み込もうとしたケースです。

たとえば、受注管理のシステムを導入したとします。通常の受注は問題なく処理できる。でも「この取引先だけ特別な値引きがある」「あの商品だけ納期の計算が違う」。そういった例外が、現場にはいくつもあります。

「せっかくだからこれも全部システムで対応できるようにしよう」と例外を組み込んでいくうちに、システムの操作が複雑になり、入力項目が増え、画面の遷移が増え……結果として、以前より手順が多くなってしまった。

これは「業務を整理しないままシステムを作ろうとした」ことが原因です。本来であれば、まず業務のルールを整理して、例外をどう扱うかを決めてからシステムを選ぶべきでした。

📌 ポイント
システムは「今の仕事のやり方」をそのまま自動化します。整理されていない業務を入れれば、複雑さもそのまま引き継がれる。それどころか、システムという形に固定されることで、余計に変えにくくなってしまいます。

「業務の見える化」とは何か

では「業務の見える化」とは、具体的に何をすることでしょうか。

難しく考える必要はありません。要するに、「誰が・何を・どの順番でやっているか」を書き出すことです。

受注から納品までの流れ、毎月の請求書発行の手順、問い合わせ対応のやりとり。こういった日常業務を、実際に現場で観察しながらメモしていきます。

💡 現場観察で大切なこと

マニュアルに書いてあることと、現場の実態は、しばしば違います。「本来はAの後にBをするはずだが、実際にはBを先にやった方がうまくいくのでそうしている」というような、現場の知恵が積み重なっていることがよくあります。必ず実際の現場を見て、話を聞くことが重要です。

書き出すと見えてくること

現場を観察して業務を書き出してみると、こういったことが見えてきます。

  • 同じ情報を複数の帳票に手で転記している
  • 一人しかやり方を知らない作業がある
  • 確認のために何人も承認者を経由しているが、実質は形骸化している
  • 例外のための対応が、思っていたより多い
  • どこで時間がかかっているか(ボトルネック)が特定できる

こういったボトルネック(滞りや非効率の箇所)が見えてきたとき、初めて「ここをIT化したら効果が出る」という判断ができるようになります。

IT化する業務の選び方と、始める順番

業務の全体像が見えたら、次は「どこをIT化するか」を選びます。

IT化に向く業務・向かない業務

IT化に向く業務

繰り返し発生する・手順が決まっている・量が多い作業。毎月の請求書発行、在庫の数量管理、勤怠の集計など。

IT化に向かない業務

判断が必要な作業・例外が多い作業・人間関係が絡む対応。この部分に人が集中できるよう、定型業務をIT化する。

📌 8割・2割の考え方
「8割の定型をITに任せて、2割の例外を人が判断する」。すべてをシステムで解決しようとすると複雑になりすぎます。例外は例外として、人が柔軟に対処する余地を残しておくことが重要です。

始める順番 →3つのステップ

現場を観察して業務をリストアップする

「誰が・何を・どの順番でやっているか」を紙に書き出す。マニュアルではなく実態を見ること。

「繰り返し・定型・時間のかかる」作業を一つ選ぶ

一番よく繰り返している作業、時間がかかっていると感じている作業から始める。最初は一つでいい。

無料デモで現場が試してから、判断する

経営者だけでなく、実際に使う現場のスタッフが触ってみること。「使いやすい」かどうかは現場が決める。

🖊 筆者の余談:私のメモは、今も手書きです

「IT化」の話をしておきながら恐縮ですが、私が現場を観察するときのメモは、今も手書きです。

A4の白紙を何枚か持ち歩いていて、現場で気づいたことや業務の流れを、その場でササッと書き留めます。図を描くこともあります。矢印で順番を示したり、「ここで止まる」と丸で囲んだり。デジタルのメモアプリより手書きの方がいい理由は、考えながら書けるからです。キーボードだと「打つ」という動作が思考の邪魔をする感じがある。手書きなら、頭の中にあるものをそのまま紙に落とせます。熟慮した後、整理してパソコンで資料にまとめます。

現場でも同じようなことが起きます。「手作業をしながらリアルタイムでパソコンに入力する」より、「手書きメモをして、1日の終わりに一括で入力する」方が、作業が速く正確だったというケースがあります。IT化=すべてデジタルにする、ではありません。人の動線に合った使い分けが、ちょうどいいITだと思っています。

コレだけ!1分で復習
  • IT化の前に「誰が・何を・どの順番でやっているか」を書き出す
  • 現場を実際に観察して、ボトルネックを探す
  • IT化に向くのは「繰り返し・定型・量が多い」作業
  • 例外はシステムに無理に組み込まず、人が判断する余地を残す
  • 最初は小さく・必ず現場で試してから広げる
  • IT化=すべてデジタルにすること、ではない
まず現状を聞かせてください

「うちはどこから手をつければいい?」
それを一緒に整理するところから始めます

ツールを売り込んだり、いきなり大きな提案をしたりはしません。まず御社の今の状況をうかがって、何が問題で、何から始めるべきかを一緒に考えます。葛飾区で25年以上、経営者の隣でITを見てきたからこそできる、現場に寄り添った相談です。

※葛飾区周辺(足立区・江戸川区・三郷市・八潮市・松戸市など)へは、初回訪問時の出張料も無料(それ以外の地域も対応しています。その場合は、交通費の実費だけご負担ください。)

小田朋和
(有)イオアート 代表取締役・IT経営コンサルタント
人情の街として知られる東京都葛飾区を拠点に創業25年以上。中小企業経営者のIT経営をサポート。「売り込まない・中立・わかりやすく」をモットーに、経営者の隣でITを経営の力に変えるお手伝いをしています。行政機関・経営者団体・大学・高校からの講師依頼も多く、「難しいと思っていたITが、楽しく理解できた」という声をいただいています。「社長」よりも、「先生」と呼ばれることの多い25年でした。
まず現状を聞かせてください

「うちはどこから手をつければいい?」
それを一緒に整理するところから始めます

ツールを売り込んだり、いきなり大きな提案をしたりはしません。まず御社の今の状況をうかがって、何が問題で、何から始めるべきかを一緒に考えます。葛飾区で25年以上、経営者の隣でITを見てきたからこそできる、現場に寄り添った相談です。

※葛飾区周辺(足立区・江戸川区・三郷市・八潮市・松戸市など)へは、初回訪問時の出張料も無料(それ以外の地域も対応しています。その場合は、交通費の実費だけご負担ください。)

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