B-11:社内Wi-Fiが遅い、つながらない —その前に知っておくべきネットワークの基本と、経営者がやるべき判断

インターネット・LAN・Wi-Fiの違いから整理する

 社内ネットワーク・データ管理を整える

「Wi-Fiがつながらない」「インターネットが遅い」。原因はさまざまです。この記事では、ネットワークの基本から、よくあるトラブルの対処法、経営者が知っておくべき判断軸までを、現場25年の経験をもとにお伝えします。

「また社内のWi-Fiがつながらない」
「インターネットが遅くて仕事にならない」
こんな声は、中小企業の現場でよく耳にします。

ただ、「ネットワークのトラブル」とひとくちに言っても、原因はさまざまです。ルーターの不具合なのか、ケーブルの劣化なのか、パソコン側の設定なのか、はたまた機器が古すぎるのか。原因によって対処がまったく違います。この記事では、ネットワークの基本的な仕組みから、よくあるトラブルとその対処法、そして「自分で判断できること・業者を呼ぶこと」の仕分け方を、現場25年の経験をもとにお伝えします。

目次

「ネットワーク」って、そもそも何のこと?

インターネット・LAN・Wi-Fi:3つの言葉の違いを整理する

まず、混同されやすい3つの言葉を整理しておきましょう。

用語の整理

インターネット:外の世界(世界中のWebやメール)とつながる回線のこと。プロバイダと契約して使います。

LAN(社内ネットワーク):社内のパソコン・プリンター・サーバーなどをつなぐ「社内の道路」のこと。有線と無線があります。

Wi-Fi(無線LAN):LANのうち、ケーブルを使わず電波でつなぐ方式のこと。「Wi-Fiがつながらない」は、正確には「無線LANがつながらない」という意味です。

「インターネットが遅い」と感じるとき、原因がインターネット回線にあるのか、社内LANにあるのか、Wi-Fiの電波にあるのかで、対処がまったく異なります。この仕分けができるだけで、トラブル対応がずいぶん楽になります。

有線と無線、どちらが「いい」のか

結論から言うと、安定性・速度ともに有線LANのほうが上です。デスクトップパソコンや固定のプリンターは、できれば有線でつなぐほうが安心です。一方、ノートパソコンやスマートフォンは移動しながら使うため、Wi-Fiが現実的です。「有線が使えるものは有線で、動くものはWi-Fiで」という考え方が基本になります。

「つながらない」の約6割は、再起動で直る

最初に確認するのは「ルーターのランプ」

当社にネットワークトラブルの連絡が入ったとき、私がまずお願いするのが「ルーターのランプを見てください」という確認です。ルーターには複数のランプがあり、正常時はすべてが点灯または点滅しています。何かが消えていたり、赤く点灯していたりする場合は、何らかの異常が起きているサインです。

📌 ランプで確認するポイント
  • 電源ランプが点いているか
  • インターネット接続のランプが点いているか(機種によって「WAN」「INTERNET」など)
  • Wi-Fiのランプが点いているか
  • 異常を示す赤いランプや、消灯しているランプはないか

再起動の正しい順番

ランプに異常が見られる場合、まず試していただきたいのがルーターの再起動です。経験上、「つながらない」トラブルの約6割はこれで解決します。

モデム(光回線終端装置)の電源を切る

プロバイダから貸し出されている機器です。電源ケーブルを抜いて30秒ほど待ちます。

ルーターの電源を切る

同様に電源ケーブルを抜いて30秒待ちます。

モデム→ルーターの順に電源を入れる

モデムが安定してからルーターを起動します。各ランプが正常に点灯するまで1〜2分待ちましょう。

パソコンやスマートフォンで接続を確認する

これで多くのケースはつながります。

それでも直らないときの「消去法」:ケーブルを1本ずつ確認する

再起動で解決しない場合は、次のステップに進みます。有線LANを使っている環境では、LANケーブルの劣化が原因のことがあります。ケーブルの故障は見た目ではほとんどわかりません。当社が現場で行うのは、ルーターに近い側から1本ずつノートパソコンを実際につないで確認していく「消去法」です。あるケーブルだけつながらない、あるいは速度が極端に落ちる。そのケーブルが原因です。

「遅い・つながらない」よくあるトラブル4選

ルーターの経年劣化:何年使っていますか?

ルーターにも寿命があります。目安は5〜7年です。それを過ぎると、動作が不安定になったり、再起動を繰り返すようになったりします。「前は問題なかったのに最近よく落ちる」という場合は、機器の劣化を疑ってください。購入時期を確認してみましょう。「いつ買ったか覚えていない」という場合は、それ自体が替え時のサインかもしれません。

LANケーブルの劣化:見た目ではわからない

LANケーブルの劣化は見た目では判断できないことがほとんどです。ケーブルが折れ曲がった状態で長年使っていたり、引っ張られ続けていたりすると、内部の断線や接触不良が起きます。「なんとなく遅い」「特定のパソコンだけ不安定」という症状はケーブルが原因のことがあります。数百円から購入できますので、怪しいと思ったら交換してみることをおすすめします。

パソコンがWi-Fiパスワードを「忘れた」

Windowsのアップデートや設定のリセット後に、パソコンが保存していたWi-Fiのパスワードを忘れてしまうことがあります。症状としては「他の機器はつながるのに、このパソコンだけつながらない」という状態です。この場合は、Wi-Fiの接続設定を一度削除して、パスワードを再入力するだけで解決します。ルーターの底面や背面にパスワードが記載されているシールが貼ってあることが多いので確認してみてください。

Windows Updateがプリンターの設定を書き換えた

「昨日まで使えていたプリンターが突然つながらなくなった」。これはWindows Updateが原因のことがあります。Windowsのアップデートは、セキュリティ強化のためにネットワーク設定やプリンターのアクセス権限を自動で変更してしまうことがあるからです。対処としては、プリンターの設定を手動で元に戻す方法と、Windowsを1つ前のバージョンに戻して次のアップデートを待つ方法があります。

また、同じトラブルが2〜3か月続く場合には、次回から社内の方が自分で対応できるよう、私が手順マニュアルを作成してお渡しするようにしています。「業者に頼むたびにお金がかかる」より、「次は自分たちで直せる」状態を目指すほうが、長い目で見ると会社のためになります。

Wi-Fiには「世代」と「届く範囲」がある

動画・クラウド時代に古いWi-Fiでは力不足

Wi-Fiには「世代」があります。古い規格(Wi-Fi 4/11n)は、動画会議やクラウドストレージを多用する現在の業務環境では速度が追いつかないことがあります。現在の主流はWi-Fi 6(11ax)で、最新規格のWi-Fi 7(11be)対応機器も普及し始めています。

Wi-Fi世代の目安

Wi-Fi 4(11n):2009年頃〜の規格。動画・クラウドを多用する現場では力不足になりやすい。

Wi-Fi 5(11ac):一世代前の主流。一般的な業務であれば今も使えるが、買い替え検討の時期。

Wi-Fi 6(11ax):現在の主流規格。多人数が同時接続する環境でも安定。今から買うならこれが基本。

Wi-Fi 7(11be):最新規格。より高速・低遅延で対応機器も増加中。大容量データを扱う環境や将来性を重視する場合に。

「インターネット回線は速いプランを契約しているのに遅い」と感じる場合、ルーターの世代が古くて回線の速度を活かせていない可能性があります。

ルーターの買い替えサイクルと、次に選ぶときの考え方

ルーターの買い替えサイクルは5〜7年が目安です。「壊れてから買う」では業務が止まります。購入時期を把握しておき、5年を超えたら次の機種を検討し始めるくらいの余裕があるとよいでしょう。選ぶ際は、社員数・利用場所・用途に合ったスペックを選ぶことが大切です。

電波が届かない場所がある →メッシュWi-Fiという選択肢

工場や老人ホームなど、柱や扉が多く面積が広い建物では、1台のルーターだけでは電波が届かない場所が生じることがあります。「あの部屋だけつながらない」という症状は、機器の故障ではなく電波の届く範囲の問題です。そうした場合に有効なのが「メッシュWi-Fi」という仕組みです。複数台のルーターを連携させることで、広い空間をまんべんなくカバーできます。当社の支援事例では、鉄筋2階建ての工場にメッシュWi-Fiを4台設置し、ほぼ隅々までカバーすることができました。

仮設事務所・屋外イベントでインターネットを使いたい場合

建築現場の仮設事務所や屋外のイベントブースなど、数か月〜数年の期間限定でインターネットが必要な場合も、ご相談をいただくことがあります。場所の条件によりますが、主に2つの方法があります。

回線を仮設で引く

安定性が高い。工事が必要で、契約から導入まで約1か月かかる。長期・大人数向け。

電源に挿すだけの装置

工事不要。契約日から使えることが多い。短期・少人数向けとして手軽に導入できる。

「急ぎで使いたい」「安定性を優先したい」「期間はどのくらいか」によって最適な選択肢が変わります。迷ったときはお気軽にご相談ください。

🖊 筆者の余談:「お伺いする前に、まずランプを見てください」

「ネットがつながらない」とご連絡をいただいたとき、私がまず確認をお願いするのがルーターのランプです。異常なランプが点いていれば再起動をお試しいただく。それだけで約6割は、私が現場に行く前に解決してしまいます。

先日も電話口で一緒に確認しながら再起動していただいたら、あっさりつながりました。「行く前に直ってしまったので、今回は無料です。また今度、大きなお仕事をくださいね」と笑って電話を切る。これが私の思う、理想のトラブル解決です。

「すぐ呼べる人がいる」という安心感が、経営者にとっての本当のIT支援だと感じています。自分で直せるに越したことはありませんが、直せなかったときは遠慮なくご連絡ください。

この記事のまとめ

コレだけ!1分で復習
  • 「インターネット・LAN・Wi-Fi」の違いを知るだけで、トラブル対応がスムーズになる
  • 「つながらない」の約6割はルーターの再起動で解決する。まずランプを確認しよう
  • LANケーブルの劣化は見た目ではわからない。1本ずつ消去法で確認する
  • Windows Updateがプリンターや設定を書き換えることがある
  • Wi-Fiには世代がある。古いルーターは動画・クラウド時代の速度に追いつかない
  • 広い建物での「つながらない場所」はメッシュWi-Fiで解決できることがある
  • ルーターの寿命は5〜7年。壊れてから動くより、計画的に備えておく
小田朋和
(有)イオアート 代表取締役・IT経営コンサルタント
人情の街として知られる東京都葛飾区を拠点に創業25年以上。中小企業経営者のIT経営をサポート。「売り込まない・中立・わかりやすく」をモットーに、経営者の隣でITを経営の力に変えるお手伝いをしています。行政機関・経営者団体・大学・高校からの講師依頼も多く、「難しいと思っていたITが、楽しく理解できた」という声をいただいています。「社長」よりも、「先生」と呼ばれることの多い25年でした。
まず現状を聞かせてください

「うちはどこから手をつければいい?」
それを一緒に整理するところから始めます

ツールを売り込んだり、いきなり大きな提案をしたりはしません。まず御社の今の状況をうかがって、何が問題で、何から始めるべきかを一緒に考えます。葛飾区で25年以上、経営者の隣でITを見てきたからこそできる、現場に寄り添った相談です。

※葛飾区周辺(足立区・江戸川区・三郷市・八潮市・松戸市など)へは、初回訪問時の出張料も無料(それ以外の地域も対応しています。その場合は、交通費の実費だけご負担ください。)

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